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オッサンは喚き続けたせいで首まで氷に侵食されている。このまま情報源を凍りつかせるのは得策ではない。
俺はオッサンに近付き、胸辺りを軽く突いて少しだけ《レジスト》をかけてやる。胸から上に成長していた氷がパキンと割れて崩れる。
喧しいオッサンだがそれなりの立場にいるようだし。近衛師団かもしれないな。
「騒ぐなよオッサン。俺の質問に答えろ。勇者の罪状は皇帝拐かしによる反逆罪。その代わりとして新たな勇者召喚の準備をしていた?」
「フン、お前のようなガキに話すことなどないわ!」
あらら。思ったより短慮なオッサンだった。
オッサンはもう使えないと踏んで、階段へと引き返す。
すると、階段を降りてくる人物とかち合った。背後でオッサンが叫ぶ。
「殿下!?」
殿下?もしかして首根っこ掴まれて引き摺られてるのが殿下?
「おお、なんでお前がここにいる?」
殿下を引き摺っている人物が俺に片手を上げて話しかけてくる。実に軽い口調に頭が痛くなってきた。
「お前こそ何をやってるんだ、マルコ」
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