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「これはどういう状況でしょうか?」
人型に収まったハロルドが重鎮と思しき人物を連れてやってきた。皆、憔悴しているように見える。
一人の老人が歩みでて頭を下げた。
「まずはお詫びを、マルコ殿。我等が不甲斐ないばかりにご迷惑をお掛けしましたな」
「宰相さんだったか?いいって、他の3人に被害はなかったし、取り下げてくれりゃあ俺もすぐに撤退する」
「勿論です」
俺はその様子を見て、帽子を目深に被り直す。
「地下にあった魔法陣は破壊した。魔力をいくら注いでも二度と機能しない」
老人たちが俺の言葉にざわめく。
「これは亜人たちに対する報いだ。言ってる意味はわかるな?」
ブダルを含め、老人たちも視線を泳がせる。ここにいる全員、知っていたようだ。
腐ってる。
この世界の歴史や慣例に文句をつけるつもりはない。けれど、人種差別が生贄に発展しているのを目の当たりにして、平然とは受け入れられない。
「マルコの手配書の撤回、亜人たちの解放、俺たちの要求はそれだけだ。皇帝のことは残念だが何も知らない」
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