ヘイデン制圧戦

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* 魔族と勇者が去った後、宰相たちは長い長いため息を吐いた。 皇帝が姿を消し、執務机の中に「勇者に狙われている」ことを仄めかす手記を見付けてすぐ、ブダルの私兵によって捕らえられ、監禁された。 近衛師団がブダルの私兵の目を掻い潜り、情報だけは流してくれていたが、宰相たちは聞かなければ良かったと頭を抱えるしかなかった。 ブダルのあまりの行動の早さに、皇帝の誘拐がブダルの仕業なのではと疑うほどであった。 そして、扉は魔族の手によって開かれた。 ブダルが手慰みに囲っていた亜人の少女の姿も、そこにはあった。案内をしたようだ。 皆殺しにされるのを覚悟していた宰相たちだが、要求を飲むと魔族はあっさりと撤退していった。 驚くことに、ブダルの私兵が何人か斬られていたことを除けば、城に駐在していた近衛師団にさしたる被害は見受けられなかった。 「レーヌ…まさか『識者』か?」 ローブを纏った子供が呼んだ、レーヌという名。 それが本当に『識者』なのだとしたら、従うのはただひとりである。 「あの少年は…」 宰相の呟きは誰にも聞かれることはなく、虚空へと消えていった。
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