黒歴史

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「字が違ったらすぐバレるよ」 一応、忠告はしておく。 「ぬぁ!そらそうだ!残念!俺っちが書いて書いて書きまくるよ!」 半分しか出来ていない宿題を一生懸命書き始める。 「アキちん頑張れ~!」 アキラ。そうだ。このバカの名前は山田アキラだった。夏休みが長くて忘れてた。 「早くしないと先生来るから、それまでに頑張れ。てか、夏休みの宿題を放ったらかして何してたんだ?」 「委員長、言い方冷たい~☆」 一生懸命に宿題を写すバカを応援しながらも、その髪を三つ編みにしたりリボンを付けたり好き勝手に遊んでいる女子が代わりに私を非難する。言い方が冷たいのは元々だ。放っとけ。 「委員長は頭が良くても友達は少ないし、彼氏もいないから女友達が多くてモテモテな俺っちにジェラシーなんだよねー!」 ん。多分、違う。でも面倒だからスルー。 「確かに、委員長はモテなさそう☆」 確かにモテない。大学デビュー目指して頑張ってんだからモテなくても良い! 「山田は今はモテるかもしんないけど、大人になってもそのバカさのままなら良いトコに就職出来ない。そして、お金を稼げない男はどれだけ顔が良くてもモテないから、せいぜい今のうちにモテ期を堪能しとけ」 「げっ!嘘!」 「世の中、愛が全てじゃない。嘘だと思うなら、他の女子に聞いてみろ」 周りの取り巻き女子たちは曖昧な顔で笑いながら本音を撒き散らす。 「確かに。結婚って考えると愛もお金も大事かな☆アキちんは可愛いけどお金稼げなさそうだから……20歳越えたら彼氏にはなって欲しくないかも~☆」 ガックリと肩を落とすが自業自得だバカ。 「良いもん。俺っちビッグになってやるんだから。後悔すれば良いんだ」 涙目になりながら、宿題をガリガリと写す。 「で?夏休みは何やってたんだ?あんた帰宅部でしょうが」 「夏休みって言えば、観察日記だろ?ヘチマの観察日記書いてた」 小学生か! 見せて貰ったヘチマの観察日記はそりゃあ良い出来だったが 「今年の理系に生物無かったよね。まあ、関係ないけど、物理の先生に出してみたら?」 夏休みを丸々使った無駄日記だ。
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