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好きな子と言われて、ポン、と1人思い浮かんだ。同じクラスと白河さん。唯一俺と話してくれる女の子。
「……なんで言わなきゃいけないんですか。過去は関係ないでしょ」
自分のことは棚に上げる俺。
ムッとした顔の瑞希さんが詰め寄った。
「関係大ありだよ! だって翔ちゃん、その子のことが好きだって言い出したんだもん!」
「う、嘘だぁ」
8年越しに白河さんを? 何考えてんだ俺。確かに白河さんと話せた日はすっげ嬉しいけど、瑞希さんの方が数倍可愛い。
「嘘じゃないよ! だって、だって」
そう言った瑞希さんの瞳に涙がぶわっと浮かんだ。
「翔ちゃん高校生の時から同じ子のことが好きって言ったんだもん! それってその子のことでしょ!? 私というものがありながら!」
目の前で大粒の涙を流す瑞希さん。
そんな瑞希さんのことを泣いても可愛いな、なんて思いながら見ている高校生の俺。
いや待てよ。
それってどう考えても俺が好きな相手って。
「……瑞希さんでしょ」
「え?」
瑞希さんが小首をかしげた。
「いや。私が翔ちゃんと会ったの23才だし。高校の時知らないし」
俺が自分の事を指さすと、瑞希さんは少し黙った後「あー!!!」と叫んだ。
「高校生の、翔ちゃん!! 翔ちゃん!」
そう。今瑞希さんの前にいるのは『瑞希さんいいなー可愛いなーと思っている高校生の俺』。
瑞希さんが俺の両肩を掴んで揺さぶった。
「私のこと、好き!? 好き!?」
距離近い。可愛い。揺すられすぎて軽く酔いそう。でもそれより触れられている肩が気になる。
ガクンガクン揺さぶられながら俺は答えた。
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