一両目 秘境駅

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「それ、どういう意味?」 「これで失礼します」 涙を見られたくないウサミミは頭を下げたままカバンを手に取ると、重い足取りで事務所を出ようとした。 焦った曳野は必死に引き留めた。 「待て! 分かった、分かった。一緒に行こう!」 曳野の言葉を聞いたウサミミはピタリと足をとめた。 「でも、私とじゃ、嫌なんですよね?」 「渋っていたのは、君と一緒が嫌だからじゃない」 嫌だからじゃないと聞いたウサミミは顔を曳野に向けた。 「嫌だからじゃないって、本当ですか?」 「ああ、そうだ。明日行くところはとんでもない秘境だから、女の子には辛いんじゃないかと思っただけだよ」
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