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野良猫がびっくりして威嚇してる横を、引っかかれないように気をつけながら通り抜けた。あと少しで道路に出られる。光が眩しくなってきて、熱い太陽の日差しを体に感じ始めた。
何かにぶつかった衝撃音、その後に車が急ブレーキを踏む耳障りな音が辺りに響いた。
跳ね上がる体。
手からこぼれ落ちるiPhoneは、車にぶつかった衝撃でスクリーンに亀裂が入り、無残にも壊れた。
最後に見たものは、澄み渡る程に青く、深海のように深い夏の空。
跳ね上げられた衝撃は強く、頂点まで達した体はあとは重力に任せて落ちるだけだ。
重力に反発するように空へ向かう茶色い髪が、青い空に滑らかに茶色い線を描く。
瞼が閉じるその前に、意識は身体から離れて行った。
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