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「若、お勤めご苦労さまでした」
膝に手をつき頭を下げるガラの悪い大人達。
「おーよ」
タバコをその辺に投げ捨て、開けられた黒塗りリムジンの後部座席に滑り込んだ。この男を迎えに5台の同じような黒塗りが、刑務所の外で一列にお行儀良く並列されていた。
目的人物を積み込んだご一行は、砂利道をジャリジャリと音を立てて行くべき場所へと出発進行して行った。
「次郎、そんで親父はどうなんだよ」
後部座席でワイングラスを傾ける霧吹の対面(といめん)には次郎。次郎は夏にはいささかふさわしくない真っ黒いスーツに、頭は金髪の短髪で眉毛はない。
「へい、体調がやはり少し思わしくなくて」
「そうか。まあ、あれだ。親父も年にはかなわねーってやつだなあ」
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