人知れず、夜泣き。

泣かぬなら 泣かせてやろう 桜さん

　え？　何が？

　目が点になっているだろう私を他所に、美人秘書がわけの分からない事を言い出した。

　「いつも橘さんと一緒にいる私の事が目障りだからって、秘書を辞めろなんて言われても困ります」

　え？　誰に言っているの？

　事態が飲み込めない。

　修くんが眉間に皺を寄せながら私を見ている。

　…え？　私に言ってるの？　美人秘書。

　「あと、陰で私のある事ない事を吹聴するのもやめて下さい。傷つきました」

　美人秘書の作り話はまだまだ続く。

　これは…私が悪者仕立て上げられている…の？

　ビックリしすぎて固まってしまった。