滲む。

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 立ち上がろうとした時、  「どうぞ」  目の前に『ニョキ』っとペットボトルのお茶が現れた。  見上げると、『早く受け取れよ』と言わんばかりの橘さんが私を見下ろしていた。  「あ…どうも。あの、大丈夫ですか?」  とりあえずお茶を受け取る。    「何が?」  どこも具合の感じは見受けられない橘さんは、缶コーヒーの蓋を開け一口含んだ。  「イヤ…なかなか戻って来ないから、お腹痛いのかと…」  「だから、そのお茶とか買いに行ってたんだよね?」  『バカじゃないの?』という視線を落としてくる橘さん。  心配して損した。  「パンとかいっぱい買って来たから、木内さんも適当に食って。腹減ったっしょ?」  橘さんは、他にもおにぎりやお菓子の入ったコンビニ袋を無造作に置いて、パンを齧りながらまた棚卸しをし始めた。  …私の分、1000円くらいかな。  財布から1000円札を取り出し、  「あの、買って来てくれてありがとうございます。これ、私の分です。足りますか?」  橘さんに差し出すが、彼は受け取ろうとしない。  「…足りませんか?」  このひと、どれ程買ってきたんだろう。  「律儀っつーか、真面目っつーか、貧乏臭いってゆーか」  『いらねーし』と私を馬鹿にした様にに笑うと、橘さんは1000円札を私に押し戻した。
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