かがみのかけら

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 教室の戸を開けたら、そこには――  誰もいないはずの『開かずの教室』に人影がいきなり浮かびかがった!  一緒に肝試しにきていた友人たちはその人影に驚き、悲鳴を上げて走り去ってしまう。そして『開かずの教室』には僕一人が取り残される形となった。  ふん、ビビりすぎだっつーの……  僕はその人影の正体を突き止める為に教室の中央まで歩いていく―― 「ああ、やっぱりそんな所か……」  教室の奥には古い鏡が置いてありそれが僕の姿を映し出していたのだ。 「全く人騒がせな鏡だな……」  僕はそう言葉にしつつその鏡に手を伸ばす……  その瞬間、背後から教室の戸を閉まる音。  ……否、開く音が聞こえた。  鏡越しの背後――  開いたままにしておいた教室の戸が再び開いたのだ!  僕は驚いて背後を振りかえる。  そこにはなんと……  僕の姿を見て驚き悲鳴を上げて走り去っていく友人と……  そして《僕》の姿があった――  『開かずの教室』に一人取り残された《僕》はため息を吐くとゆっくりと僕に向かって歩いてくる。 《ああ、やっぱりそんな所か……》  そして、その《僕》は『鏡の中に映る僕』を見てこう呟くのだ。 《全く人騒がせな鏡だな……》  そう言葉にしつつ《僕》は僕に向かって手を伸ばす…… 「ああ、やめろッ! やめてくれッ!!」  僕は声を張り上げて叫ぶがその言葉は《僕》には届かない――  そして《僕》は僕を持ち上げるとそのまま地面へと叩きつけるのだ。  ――ガシャーンッ!!  大きな音を立てて僕の肢体は粉々になって床へと散らばり、視界は罅割れ、そのまま暗転する。  僕の欠片を踏みつけるジャリジャリといった耳障りなノイズと共に《僕》の声だけが闇の世界へ木霊する…… 《さようなら》――、と。
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