かがみのかけら

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 僕は語り終わるとフッと最後の蝋燭の火を吹き消す。 「――ふぅ、これで100本目。『開かずの教室』の怪談おーしまい」  こうして僕が100話目の怪談を語り終え、我がオカルト部が毎年恒例で行っている『百物語合宿』のメインイベントはお開きとなる。  部員は全員、真っ暗となった教室の中央に引かれたござの上で上履きを脱いで胡坐をかき、円を組むように座っている。 「うう……怖かったー、なな、何も起きてないよね? ね?」  今年から部に加わった新入部員の女子がビクビクと怯えながら周囲を見渡す。  ああ、なんて初々しくて可愛いのだろう。  やっぱり怯える女の子は良いね、うん!  僕の嗜虐心が大変にそそられる……これは頗る気分が良い! 「は、はは、ま、まあ、何にも起こりやしねーよ、毎年恒例だしな! なあ!」  そう口にしながらも震えを隠しきれていない先輩もグッドですb  そんなビビりまくる部員たちに向かって僕は最後のダメ押しを口にする。 「ああ、実は最後の怪談の舞台となった『開かずの教室』なのですが……何を隠そう実はこのオカルト部の部室がそうだったりするのです――」  僕のその言葉を聞いて部員たちが一斉に静まり返る…… 「……ああ、ですから皆さん。この教室を歩くときは十分に注意して下さいね。足元にはバラバラになったその『男子生徒の破片』が――」 「あああっ! もういいっ! 終わりだ、終わりっ! ささ、さぁ! みんな! さっさと明かりつけて片付けようぜぇ!」  恐怖に耐えきれなくなった先輩は僕の話を強引に終わらせる。  そして僕の計画通り、素足のまま慌てて教室の明かりを付けようと蛍光灯のスイッチがある教室の戸の前まで駆けていくだ――  その道程…… 「ギャーーーーッ!」  ……と、先輩の叫び声が教室内。否、学校全体へと響き渡る。  ああ、先輩……  だから足元には十分に注意して下さいって言ったじゃないですか……  もう、  ――本当に最高ですっ!(恍惚)  蛍光灯のスイッチがある教室の戸の前……  そう、その床には僕が予め撒いておいた『男子生徒の欠片』たち――  ああ、それを素足で思いっきり踏んじゃったら……ねぇ?  こうして今年のオカルト部の合宿も僕の嗜虐心を十分に満たす形で幕を閉じたのでした。 ―― 了 ――
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