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「お参りですか?」
「えっ!? あっ、は、はい! そうです! そ、そのここの神社が無くなるって聞いて、それで」
「それはそれは、ありがとうございます。きっとここの神様も喜んでくれていますよ」
「そ、それはそれは、えっと恐縮ですね」
「ふふ。しっかりお参りなさって下さいね。それでは私はこれで」
「あっ、は、はい」
境内の建物に向かうのを見送った後、しばらくボーっとしてた。
そしてハッと気づく。
先ほど落とした5円玉を這いつくばって探す。
う、うそ…、見当たらないんですけど…!
途方に暮れながら立ち上がり、ふと賽銭箱の方に目をやると、ある物を見つけた。
これって…お守り?
淡いピンク色の生地にひし形のような模様。
可愛らしくて、縁結びにぴったり当てはまっている感じだ。思わず手に取った。
あれ? 中身が半分出て…、こういうのって見ちゃだめな気がするけど。
でもちょっとぐらいなら、だめかな。好奇心の方が勝ってしまい中身を見てみた。漢字みたいなのが書かれている。んっ!?
フラッと視界がぼやけたが、両足でふんばり持ちこたえた。幸い一瞬のことだったのでよかった。
ふぅー…、あれ? 今何時だろ? ケイタイをとりだす。 やばい!
文化祭の準備に遅れる!!
神社の階段を駆け下り、止めてあった自転車にまたがって学校へ向かう。
途中で右手の違和感に気付いた。
あっ、お守りを持ったままだ…。帰りにあの巫女さんに渡そう。
そう決めてペダルを力強く漕ぎ続けた。
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