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出会いのきっかけ
通学の途中に通り過ぎる小高い丘。その頂上には古びた神社がある。地元の人でも年末年始くらいしか行かないところ。
その神社が取り壊しになるという話を、お母さんとおばあちゃんが居間のテーブルで話をしていた。
私は居間の隅の柱に背中を預けながら座っていた。ケイタイでグループトークの履歴を見つめていて、パッと消えた画面をまた付け直して読み返そうとしたときだった。
「昔は縁結びで人気があった神社だったんよ」
その言葉に思わずパッとおばあちゃんの方を向いてしまった。
目が合って、にこっと笑うおばあちゃん。うっ、やばい…! 「へぇ~、そうなの。昔っていつ時代?」とお母さんがいたずらっぽく話の続きを聞いたので目線はすぐに外れた。
あ、あぶなかった…。って、おばあちゃんに先輩のことで話をしたことないから焦ることはないし…!
「いつの時代ってそれは私が乙女だったころよ、ちょうど香菜(かな)ぐらいのころ」
「わ、私?」
名前を呼ばれてつい返事をしてしまった。というか私は高校2年生だしもう乙女じゃないだろ。
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