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『さあ、私を手に取って大いなる闇と戦いましょう』
「…………」
この宝石?を見つめるアデルの目は、俗に言う“ジト目”だった。軽蔑や不信感といった感情を表現する目の形。半目とも言われる
今アデルがしているのは、まさにそんな感じのジト目である
『ほら、遠慮なさらずに』
「………………」
『ほらほら』
「……………………」
『あの、もしかして、私のこと胡散臭いなあ。と思っていません?』
「うん」
『そのことでしたらご安心を。私たちルーンコアは嘘はつきません。さ、私を手に取って魔術戦士となり、力を合わせて共に戦いましょう』
…………やはり胡散臭い。そもそも自分で嘘をつかないだとか言ってしまう辺りが怪しい。他人に言うことを聞かせたいのならそれなりの技術と話術があるものだが、この宝石は強引過ぎる。これでは胡散臭さが増すばかりだ
それに、よく聞けばさっきから『手に取って』と何度も言っている。これでは…………
「つまり、お前?を手に取ったらいけないんだな?」
と、警戒されるのも当然だった
『いえ、触るだけでも良いんです』
「触るだけでも!?ひょっとしてかなりの危険物!?」
アデルはジリジリと後退する。こうなったら隙を見て逃げ出そうーーそう考えていた
『…………ふう。仕方ありませんね。あまり乱暴はしたくないのですが』
と、宝石が言うとーーなんと、宝石から何本もの触手のようなものがアデルに向かって伸ばされてきた!
「うぇ!?」
完全に想定外なことにアデルは反応できず、四肢を光のような触手で搦め捕られてしまう
「ちょ、なんだよこれ!?」
『見ての通り触手ですが何か?あと貴方女の子ではなく男の子だったんですね』
宝石ーーまあ目があるのかは分からないが、アデルの股間をまじまじと眺めてそう呟いた
「ど、どこ見てんだよ変態!」
咄嗟にアデルは『ソレ』を隠そうとするが、両腕を触手で封じられているためできなかった
『変態で結構。私にとっては褒め言葉ですので』
「なに言ってーーひゃんっ!?」
アデルの身体がビクッと跳ねた。また新たに宝石から生えた触手が彼の背中を優しく、そっとひと撫でしたのだ
自分の四肢を搦め取っている触手と違い、それはヌメッとしていて、まるでウナギに背中を這われたような感触だった。そんなこと体験したことないが
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