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名もない時代
名もない場所に
ある日一人の化け物が生まれました。
化け物は生まれてからずっと一人ぼっちでした。
ある時化け物は思いました。
『どうして自分は生まれたんだろう
どうして此処に居るんだろう。
どうして一人ぼっちなんどろう。』と。
そして
化け物は、森の中心の千年樹に祈りました。
―ともだちが欲しい―と。
すると神は、化け物に1日だけともだちをくれました。
化け物は喜び、そのともだちととても
楽しく過ごしました。
しかし時の流れは残酷で、あっという間に1日は過ぎていきます。
1日が経ち、ともだちは消えてしまいます。
化け物は泣きました。
そして、それ以来何も欲しがらなくなりました。
―望めば失ってしまう―
それが、怖くてたまらなかったのです。
そして化け物は気づいてしまったのです。
あの1日だけのともだちと自分が、全然違うことに。
ともだちにはないものが、化け物にあったのです。
鋭い牙に、赤い目…
そして、もう一つ。
化け物には、寿命というものがありませんでした。
以前見た動物は、すぐに死んでしまいました。
そして、化け物は知りました。
自分が、化け物だということを。
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