第1章

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凄まじい光景が、俺達を無口にする…。 血が飛び散り、逃げ惑う生徒達。乱入してきた犯人はナイフを振り回し狂気に満ちている。けたたましい悲鳴と教室を赤く染めていく血。怪我をした生徒達の呻き声。教室は地獄とかしていた。 クラスの半分以上が怪我を負い、その中に一朗くんはいた。赤く染まった床に足を投げ出して座る犯人は、正気を失い、反り血を浴びたその姿は、最早、人ではなかった…。 この時、負傷者は出たがクラス全員無事だった。一朗くんは生きている…怪我をしているが生きていたんだ。 すると、一朗くんに近づく少年がいた。その子も怪我をしている。 この惨事にみんな冷静ではいられない。 支えあう姿など何の不自然さもなく…が…次の瞬間、一朗くんの足がガクっと折れて少年に支えられたまま机に凭れかかるように座らされた。少年は何もなかったようにその場を離れた。 一朗くんは胸から血を流してる…。 そして、微動だにしない。 なんて事だ!! 一朗くんは犯人に殺されたんじゃなくクラスメイトに殺されたんだ!! まるで映像でも見ているかのように、一朗くんに起こった出来事と一朗くんの心の叫びが手に取るように伝わってくる…。 俺達は16年前の事件の詳細を知らない。 事件に巻き込まれて亡くなった生徒がいる、それくらい。 16年前、この教室で起きた真実を一朗くんは誰かに知って欲しかったんだ。
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