第一章:偽りの招待状

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「……そっちの仕事は? お前は学校の教師だろう?」 「お前って呼び方は失礼よ。学校の方には適当に理由をつけて休みをもらうつもりだから、心配しなくてもオーケーよ。そんなことで身動きが取れなくなるなら、始めからここまで相談しには来ないわ」 「確かに。まぁ、払うものさえしっかり払ってくれるなら引き受けても問題はないが、大丈夫なのか? 呼ばれているのは詩織だけだろう?」 封筒のある場所、絵馬さんのバッグを指差してお兄ちゃんが指摘すると、問われた本人はとぼけたように小首を傾げてみせた。 「そうだけど、でも、一人で来ないと駄目とは書いてないじゃない? ということは、ルール上許されるはずよ。もし注意をされたら、きちんと連絡をまとめない相手側のミスになるわけだし。私に非は発生しない」 「……相変わらず、自分ルールは健在か。わかった、この程度の依頼は引き受けよう。ただし、万が一現地で揉めた場合は詩織が責任を持ってくれ。オレは関わらない。あと、それで帰された場合でも金は貰う」
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