プロローグ

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「……歪んでる。お兄ちゃんの思考は何かが歪んでる」 悠然と構えるお兄ちゃんの顔へ半眼になりながら呻いたときだった。 突然、何の前触れもなくお店のドアがノックされた。 反射的に、あたしたち兄妹は入口へと振り向く。 「誰か来たよ。返済の催促とかじゃないよね?」 割と本気でビクつきながらあたしが言うと、お兄ちゃんは 「オレに借金はない。普通に仕事の依頼だろう。ドアを開けてくれ」 と、あっさりとした返事をして座る姿勢を正した。 言われた通りに入口へと向かい、恐る恐るドアを開ける。 「こんにちは」 そこに立っていた人物は、女性だった。 二十代半ばくらいの、髪の長い綺麗な人。 まるで、どこかのビルで社長秘書でもしていそうな白い上質なスーツを着ているため、すごく知的に見える。 「えっと、依頼があって来たんだけど……中に入れてもらって良いかしら?」 ポカンとなってしまったあたしに余裕を含む笑みを見せ、女性が訊いてくる。
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