プロローグ

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           1 もはや、絶望しかない。 自分が守ろうとしてきたものが、次から次へと手のひらから零れ落ちていくようなこの感覚に、ただひたすら虚しさだけが込み上げてくる。 このままでは、どう足掻いても現状を打開することなど不可能。 やり方を変えなくては。 わからせなくてはいけない。 自分たちの犯している過ちに。その盲目さに。 例えその成果が蟻の歩幅にも劣るような小さな一歩にしかならなかったとしても、何もしないよりはマシだ。 自分のデスクに置かれたPCを操作し、ピックアップした数人の写真と簡単な情報を表示させそれを眺める。 (……これらは全員皆殺しだ。人柱は一人でも多い方が効果的に決まっている) 策を考えなくてはいけない。 こいつら全員を一つの場所におびき寄せる方法を。 絶対に逃げられない閉ざされた舞台を用意し、一人ずつ確実に殺していく。
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