第一章:偽りの招待状

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一体何だろうと思いながら見ているあたしの前で、お兄ちゃんは手紙の文面を開く。 そっと顔を近づけ、あたしも覗き込んだ。 <謹啓、絵馬 詩織様 盛夏の候、ますますのご清祥のこととお慶び申し上げます。 さて、このたび厳密な抽選におきまして、来年度の春にオープン予定のテーマパーク施設『遊想館』のモニターに絵馬様が当選されたことをご報告致します。 最新技術を駆使したこれまでにない多くのアトラクションをご用意してお待ちしておりますので、是非ともご参加いただきますようお願い申し上げます。                                          謹白> よくわかんないけど、確かに何かの招待状であるのは間違いなさそうだ。 「……ふん」 どうでも良さそうな呟きを漏らして、お兄ちゃんは二枚目の紙に目を通す。
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