第一章:偽りの招待状

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「さて。オレは警察じゃないからそんなことは知らない。……で? これをオレに読ませて、一体何をしてほしいんだ? まさか、代わりに行ってくれと言うんじゃないだろうな?」 冗談じゃないぞと言いたげに、お兄ちゃんが目を細める。 「うーん、そうしてくれるんなら一番手っ取り早いんだけどね。さすがにそこまで厚かましいことは言えないから、私なりに妥協するわ」 返された封筒をバッグにしまいながら、ニヤリと笑う絵馬さん。 「妥協?」 「そ。一人で行けとは言わないから、一緒に来てほしいの。知り合いがいてくれたら心強いしさ」 「……いっそ、無視して行かないっていう選択肢はないのか?」 「それも考えたけど、なーんか気にはなってね。行かないで後から面倒なこととかあっても嫌だし、このテーマパークがどんな所なのか実際に見て確かめたいっていう好奇心もあったり」 悪戯っぽい笑みを湛えて、絵馬さんはまたコーヒーに口を付ける。
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