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「ケチだね恭一は。マリネちゃん、こんなのと一緒になんていないで、彼氏でも見つけて離れた方がいいわよ?」
割と真面目な表情で話を振ってくる絵馬さんに苦笑を返し、あたしは肩を竦める。
「むしろ、こんな兄だから放っておけないってのもありまして。一人にしておいたらどんなんなるかわかったもんじゃないですもん。普段から掃除はしないし、料理もからっきしだし」
「あー、確かに妹からすれば心配だろうけどねぇ。ま、大抵の男は一人にしておくとまともに生活できない生き物だから」
あたしと同じように苦笑して、絵馬さんは白い歯を見せる。
「それは一方的な決めつけだな。その気になれば男の方が女より効率よく家事をこなすことは容易に可能だ。それに、オレはマリネがいなくとも掃除くらいはするし料理もそれなりに作れる。今はその必要性がないからしていないだけだ」
「あら、大口叩いちゃって。素直じゃない男は誰にも相手にされないわよ?」
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