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気だるげな視線が、ゆっくりとあたしを捉える。
「何だ?」
二十四歳。ここにいる白沼 恭一は間違いなく二十四歳なのだ。
しかし、その整った口から発せられる声はどう聞いても実年齢より上。
何と言うか、声の質がすごく渋い。
あたしはもう小さい頃から慣れているせいでどうってことはないけれど、初対面の人なら間違いなく戸惑うはずだ。
特に電話でやり取りをしたお客さんが実際に顔を合わせときなんかは、そのギャップに言葉通り目を丸くした。
それくらいに、渋い。
「今思いついたんだけどさ、あたし何か適当にバイトでもしよっか?」
「バイト? 金を貯めたいのか?」
眉一つ動かすことなく、お兄ちゃんは見当外れなことを言ってくる。
「違うよ。確かにお金は欲しいけど、そういうんじゃなくてね、お兄ちゃんのためにあたしも何か収入を得るためのお仕事をしようかって言ってるの」
ピシッと指を突きつけ、あたしはきっぱりとした口調でそう告げる。
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