プロローグ

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「オレにとっては不必要で価値が無い」 だそうだけど、妹としては将来が不安になる。 (まぁ、変なのが付くことがないのは安心だけど) あたしとお兄ちゃんは、偽りの兄妹。 お兄ちゃんが高校一年、あたしが小学五年のときにお互いの親が再婚して家族になった。 白状してしまうと始めて見た瞬間に一目惚れだったのだけれど、そんなあたしの気持ちになんて気づく気配もなく八年が経過した。 このまま現状を維持していれば、いずれはあたしまで行き遅れてしまいかねない。 「マリネは、自分のことだけを考えていれば良い。オレのことは気にするな」 個人的マイナス思考へ船を漕ぎ始めていたあたしの意識を、お兄ちゃんのクールな声が呼び覚ます。 自分のことだけ、とは大学受験に落ちて浪人中のこの現状を打破することに力を注げと言いたいのだろうか。 それは余計なお世話と言うものだ。 親が進学を勧めるから受験しているだけで、個人的に進学には興味ないんだし。
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