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遠慮がちに叩いた板戸は、かんたんに外れて倒れた。
木漏れ日が入った土間は、荒れた様子も無く、乾いている。
ふらふらと、引かれたように中へ入る。
日陰では、山の冷気がひんやりと頬をなでた。
少し、休ませてもらうだけ。
薄暗い土間の端。
古い建築らしく、部屋への段差は高い。おかげで式台は腰掛けるのに丁度良かった。
くずおれるように座り込んで、目を閉じた。疲れが一息に折り重なり、重くのしかかる。
怠さと悪心が渦を巻く。
ここまでしんどくなる事は、近頃無かったのに、またぞろ熱中症だろうか。
だとしたら涼しい場所は助かる。でもこんな所へ建物があっただろうか。
落ち着いていく呼吸のままに、彼は眠りに落ちていった。
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