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「っは!!!!!!」
飛び起きる。額にはうっすらと汗がうかんでいた。
「くっそ…ずっと見てなかったのになんで今頃また…」
実はあの後のことは殆どと言っていいほど覚えていない。医者は、ショックが大きかったからだろうと言っていた。しかし私は助けてくれた彼にまだお礼を言っていない。怪我までさせてしまったのに…。その事を言うと医者いわく、それだけ大きな怪我をしたら今も傷跡が残っているはずだと言うのだ。
時計を見ると針は5時27分を指している。アラームが鳴るのは6時。
「…しゃーない起きるか…」
顔を洗い、着替え、髪をセットし、朝食をとる。
「いつも私の方が遅いし今日はちーより先に出てるか。」
毎朝ちーは私の家の前に迎えに来る。未だ私の方が早かったことはない。
「いってきまーーす!!!」
「車に気を付けなさいよ~~~」
「はーい!!」
玄関のドアを勢いよく開けると、
「おはよ」
ちーがいた。
いつもの待ち合わせ時間は7時。腕時計を見ると現在は6時45分だ。
「あんた……いつも何時に来てんのよ!!!!!」
「……」
「…はぁ、だから私は大丈夫だって!」
「あの時は大丈夫じゃなかった。」
「もーーー零は心配性なんだから。」
あの事件があった後から零はさらに私にベッタリになった。自分の責任でもあると思っているらしい。私の自業自得なのに。私はというとあれから前よりも様々なことに首を突っ込まなくなった。男勝りなのも治すよう努力し、今では立派な淑女……まではいかないにしてもだいぶ落ち着いただろう。
学校へ着く。
ドンッ
「ぐえっ」
「つーきのっおっはよ!」
後ろからかなりの勢いで抱きついてきた、ショートボブの髪をダークブラウンに染めたこの女は私の親友である波原まゆりだ。
「おっ…ごほっ、おはよまゆり」
「零君もおはよ!」
「おう」
私とまゆりは2組だが零は1組のため教室の前で別れる。
「じゃー今日もまた昼休みいつもの場所で!」
「あぁ」
クラスに入ると、教室の後ろで友達数人と朝からバカ騒ぎしていた馬渕千秋と目が合った。反射的に目を逸らす。
「おはよ~月乃ちゃんっ」
明らかにこっちに向かってニコニコしながら歩いてくる。
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