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零の気が弱かったこともあり、幼稚園の頃から私はそれはそれはもう気の強い女の子だった。
七年前、小五のその日、私がいつものように零と手を繋いで帰ろうと廊下を歩いていると、隣のクラスの女の子が複数の男の子に絡まれているのを見つけた。
「零、ちょっとここで待っててくれる?」
「‥‥分かった。」
私はその女の子の方へ向かって行った。そしてその子の前に立ちはだかる。
「なんだよお前!」
私はスーッと息を吸い、
「男の子がよってたかって一人の女の子いじめて恥ずかしくないの?!?!」
後ずさる彼ら。だがあちらも女相手に負けてはいられない。
「は!?!いじめてねーし!昨日この女がこいつのことふりやがったんだよ!!!!」
隣の男の子を指さす。
「だから何よ!!そんなのこの子の勝手じゃない!!それだけそいつに魅力がなかったってだけよ!!!」
「なんだとテメーー!!!」
「ちょっと!あなたたち何してるの?!」
どうやら誰かが先生を呼んできたようだ。
「くそ、覚えてろよお前!!!」
「はいはいさよーなら~~」
彼らを見事追っ払うことに成功した。
「月山さん!!一体何があったのかちゃんと説明しなさい。」
チッ
そこから助けた彼女を含めた事情聴取が生徒指導室にて行われるハメになってしまった。全くもってめんどくさい。今夜は私の大好きな天ぷらうどんなのに。
やっと解放され、帰ろうと思った時、零の存在を思い出した。
「やべっ」
急いで生徒指導室の扉を開け外へ飛び出す。
そこには私の分のランドセルも持った零が立っていた。
「零!!!」
「ん。」
差し出されたランドセルを受け取る。
「ありがと。まじでごめん!!!」
「いーよ、早く帰ろ。おばさんが心配する。」
「うん!」
‥‥‥‥その時天ぷらうどんの事しか頭になかった私は、まさか次の日あんな事件が起こるなんて夢にも思わなかった‥‥‥‥‥‥
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