5人が本棚に入れています
本棚に追加
その言葉にゾッとする。
「なータケルーこいつ俺らでもらってもいー?」
タケルと呼ばれる昨日の男の兄とやらが答える。
「おーいーぜ。あいつにも頼まれてるし。もー一生生意気な口が聞けねーようにしてやれ。」
「ラッキ~♪」
こちらに手を伸ばす2人。
私の頭は恐怖で真っ白になった。
逃げなくちゃ。
本能がそう告げる。私は震える体を抑えつけ、男たちの隙間を潜り抜けて全速力で駆け出した。
「うおっ」
「テメー!!!!!」
しかしやはり相手は高校生だ。すぐに追いつかれ、左腕を掴まれる。
「痛っ」
「舐めた真似しやがって!!!おい、もーこいつやっちまおーぜ!!!」
ドンッ
地面に押し付けられ手足を拘束される。
タケルという男は少し離れたところで腕を組み、薄く笑いながらこちらを傍観しているようだ。
誰か助けて!!!ーーーー
堅く目をつむり、服に手をかけられたその時、
ゴンッ
「うっ……」
何かで殴ったような鈍い音が聞こえ、目を開けると、私の服に手をかけていた男が隣に倒れ込んだ。
「?!?!誰だテメ
ガンッ
間髪入れずに再び鈍い音が路地裏に響く。もう1人も倒れ込んだ。
薄暗いため顔は見えないが、シルエットから男だと分かった。片手には鉄パイプのようなものを握っている。
助かった…
私は安心してしまい、完全にアイツの存在を忘れていた。
「!!!危ない!!!」
背後で大きな影が刃物のようなものを振り上げていた。
「?!」
私の言葉に彼が急いで後ろを振り返ろうとした時
ザシュッ
「ぐぁっ……」
ピッ
右頬に生暖かい感触。恐る恐る手を伸ばし、ソレが血だと理解したのを最後に、私の意識は途絶えた。
最初のコメントを投稿しよう!