第1章
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「んっ…」 甘い吐息が漏れる。 僕はこれ以上、吐息さえも漏れないよう、彼女の唇を塞いだ。 これだけ距離が近ければ見えなくても顔の位置はわかった。 彼女の匂い、唾液が僕と交ざりあう。 彼女の腕も足も体も胸も匂いも唾液も汗もショートの黒髪も吸い込まれそうな黒い瞳も全てが僕の手の中にあった。 僕は、彼女が好きだった。 そして、足音は遠ざかった。
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