スク水とリコーダーと俺

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   この残念な幼馴染は、良く言えば芸術家…悪く言えば脳内電波な花畑野郎…齢18にもなろうというのに新たなるリコーダーの可能性を探すのだと週末になるとフラフラと海・山・街を放浪しその場でリコーダーを吹くと言う奇行に走る。  その危なっかしい奇行に毎週付き合ってやる俺もどうかしているとは思う。  だが、そんな奇行を度返しにするくらい康夫は本当にいい奴なんだよ!  困った人はほっておけず重い荷物を運ぶ老婆を助けるし、木の上の子猫だって勿論の事、転校したてでクラスになじめず挙句の果てに机を焼却炉に放り込まれた小3の不愛想な少年の手を握って傍にいてくれた…あの時から俺にとってお前はヒーローなんだ!    だから俺は、ひっそり心に誓う。  康夫。  俺だけは何があってもお前を見捨てたりはしないと!  「…? どうした? 気分でも悪いのか?」  俯き頭を抱える俺を康夫が心配そうに覗き込む…誰の所為だ馬鹿野郎!  「脱げ」  「へ?」  「今すぐソレを脱げ」   「何故??」  「何ででもいい! 脱げええええ!!」  俺は、康夫の着るスク水の肩口を引っ掴んで剥く!
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