74人が本棚に入れています
本棚に追加
その後、生き物を洗ってからは俺もついでに入浴を済ませた。
腹が減った…
生き物の濡れ髪を乾かしてやる為にドライヤーを使用したが、意外にも怖がらずに黙って大人しくしていてくれた。
一先ずドライヤーは嫌いでは無い様子だ。
ドライヤーを済ませた生き物の毛髪は癖毛がかっていて、フワフワとしたその見た目は祭屋台でよく見掛ける綿飴によく似ている。
あぁ、今腹が鳴った…
それにしても色々と予定が狂った。
本来ならもう既に夕食にありつけている筈なのだが、
いつもとは段取りが違うのでまだ何も用意していない。
というか、そもそもこの生き物は何を主食とする生き物なんだ…?
肉食?草食?それとも雑食だろうか?
先程生き物を洗ってやっていた時に見た体は痩せ細っていて、
憐れな程に浮き出たあばら骨が何とも物悲しかった。
その幼い容姿にはとても似つかわしくない無数の打撲や明らかに故意に付けられたのであろう古傷や、最近付けられたのかまだ塞がっていない真新しい傷等が至る所に有り、自然と見る者の涙を誘う。
痩せ具合から見ても永らくマトモな食事は摂っていない様子なので、
取り敢えず何か食べ物を与えた方が良さそうな事だけは確かだ。
打撲や傷の手当てはその後でも構わないであろう。
何を与えて良いのかが解らないので一先ず今晩は温めたミルクでも与えて様子を見る事にした。
俺は今から何か作るのは面倒なので鯖の缶詰と白飯で済ませよう…
最初のコメントを投稿しよう!