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何とか自分の無礼を挽回しようと真央は必死だ。
「そうだね・・身長が低いとね、それだけで若く見られるってあるかもね。おまけにサービス業だから仕事中でも日に焼けることないし」
「で、ですよね。ファストフードの店員さんで色黒マッチョの男の人なんて見た事ないし・・」
「ははっ・・そうかも」
竹野の笑い声で気まずい空気が霧消し、ホッと一安心した真央は改めて車の内装を眺めた。
「こんな素敵な車に乗ってるんだもん大人に決まってるのに・・・私、何馬鹿な事言ってんだって感じですよね」
高校生の真央は竹野の車のタイプも価値もさっぱり分からない。ただ広くてゆったりした空間があるので、運転席をそれ程意識しなくて済んでいるとは乗ってすぐに感じた。
「いつもは自転車なんですよね」
「そう・・アルバイト先が駐車場が無いから。それに夕方からは授業があるから自転車の方が小回り利いて便利だし」
また竹野の口から意味不明な単語が飛び出して、真央はこれを訊いてよいものか少し悩んだ。
「あの・・答えにくかったらいいんですけど、竹野さん初めて会った時も授業があるからとか言ってた記憶があるんですが、お仕事の後に習い事とかされてるんですか?」
「うん? ああ、田中さん知ってるかな・・・S高校って聞いた事ある?」
「S高校?」
「そう・・そこの夜間部の3年生なんだ、俺」
S高校は全日制普通科の高校だが夜間部、いわゆる定時制高校もある事は真央も世間話程度には知っていた。
「・・・という事は、私と同じ高校生、ですか?」
「です。・・・見た目にも合ってるでしょ」
「いや・・それはそうと言うか、いえ、本当の年を聞いたら合ってるなんてそんな失礼な事言えません」
真央が噂でしか知らない夜間部の学生が、今隣で結構大きい車をを運転していて、しかも自分は同乗して家まで送ってもらっているという現実は驚きだった。
黙りこくってナビが出来なくなった真央のために、竹野は車通りの少ない道に入って脇に停車した。
「・・・ごめんなさい」
「いいよ。こういう事言われると咄嗟にどう返して言いか困るよね」
「いえ、そうじゃなくて・・・」
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