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作戦終了後、ロッカールームにて、初陣をヘッピリ腰で終えたリウノは、分厚い鎧を自分のロッカーに掛けた。女性的な曲線が多い、しなやかな鎧に、羽根を両耳部分に三つずつあしらった兜、量産型にはあり得ない仕様だ。
それも、彼女の父親あってこその特別仕様だ。
彼女の父親、ギフレイス・リウノは現在、騎士団の総帥を務めている。その父の名に恥じぬよう、初陣を終えたかったのだが…。
(だめだぁ…いくら装甲が硬いからって怖いものは怖いよぉ…)
ロッカーに頭から寄りかかる。それと一緒にたわわな胸がぶら下がる。
「…重い。はぁ…帰ろう」
ヘベルハスは処理すべき書類が多過ぎてまだ仕事を上がれそうになかったので、飲みの話は今度になってしまった。
ボブに切り揃えられた髪を整え、スーツに着替えてロッカーから出る。その目の前を横切る黒い影。いや、影ではない。
「ん?アンタさっきの…」
「はい…?」
凡そ此処に居るべきではない青年の脇に抱えられていた兜を見て、彼が誰なのか知る。
漆黒の鎧に二本目線の兜。
「あーっ!黒騎士!」
「それは名前じゃねーんだけどなー…」
「ちょうどよかった!貴方には言いたいことが山ほどあるんです!」
「聞いてくれないのかーそっかー」
「ほら!いきますよ!」
「待って、せめて着替えさせて」
「今日は私の奢り…いやそんなにお金持ってないかも…加減してくれたら奢りますから!」
「いや、飲みたいのはわかったしおごらなくていいから着替えさせてっ」
ぐいぐいと背中を押すリウノにびくりとも動かないミカグラ。顔を真っ赤にしながらなおも押す彼女に負けて、少しずつ、ゆっくり歩き始める。
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