Prologue

8/9
前へ
/32ページ
次へ
(まーいっか、ロッカーこっちだし) 途中のロッカーに忘れないように足を止める。どん、と背中に何かがぶつかる。と言っても、今はリウノ以外の人間は見当たらない。 「なんで急に止まるんですか!」 「だから着替えるんだってば、ちったー話聞いてくれよ」 「あー、そう…ですね」 やっとわかってくれたか、と胸を撫で下ろす。 「その格好不気味ですもんね」 「俺の仕事着バカにすんじゃねえよ」 っつかそっちかよ、と苦笑いしながらロッカーに入る。だが、五分もしないうちに出てきた。 「お待たせ」 「お早いですね」 「まぁ、脱いで着るだけだし、鎧ほど面倒なものじゃないしね」 「鎧じゃないんですか?」 「うん、俺らは基本紙装甲、俺は胸部のプレート一枚だけ。もっとつけてる人もいるけど、その人は他と比べ物にならないくらい怪力だからな」 改めて、ミカグラの洋服を上から下まで見てみると、それも良くわかる。無い、というほどでもないが、見た目と相応に細身の体型、少し厚手の灰色のパーカーにジーンズ、肩掛けのカバンには何かの模様が描かれた缶バッジがついている。 「なんか、学生みたいですね」 「みたいじゃなくて、そうだよ?俺らは騎士団以外に正体言えないからさ、普段は普通の人に紛れて生活する必要があるんだ」 「そうだったんですか…。因みに…おいくつ?」 「21」 (私より三つ下ーっ!)
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加