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頭を抱えて蹲るリウノにミカグラは笑って手を差し伸べる。
「あんた新兵だろ?最初は誰でもあんなもんだって」
「む…、随分と古株な言い方ですね」
「そりゃあな」
手を取ったリウノを引き上げて、言った。
「俺騎士団に十年いるし」
「へぇ、そうなんでぇえええええええっ!」
(一々反応でかい人だなぁ)
空いていた片手で耳を塞ぎながら、笑顔は崩さなかった。
「十年も卑怯者みたいなことしてるんですか!」
「卑怯者て…、アレも立派な仕事だろ。アンタみたいなのが特攻しまくって怪我人増えたら、医務室がぱんぱんになっちまう。そうならないように、無駄な怪我をしないように、俺たちみたいなのが必要なんだよ」
「むー…、でも許しません!私が貴方を更生させます!」
(更生もクソもあんのかよ…)
「えっと、お名前は確か…ヤケニミソヅケ…軍曹…?でしたよね」
「んなわけあるか、とりあえずアンタが味噌漬け好きなのはわかったよ。ヤヨイ・ミカグラだ。階級は曹長、ちゃんと覚えてくれよ、カタル・リウノ一等」
「あ、私の名前…知ってたんですか…?」
「まぁね、総帥がめっちゃ心配してたから」
「え、父上と仲いいんですか?」
「俺拾ってくれたの総帥だから、あと隠密部隊は総帥の命がないと動けないし」
「父上、後で〆る」
「まぁまぁ。じゃあ、今日はお疲れ様。俺は帰って課題やんなきゃ」
「あ、はい。えと、ありがとうございました」
「いえいえ、また会えたら会いましょう、リウノ一等」
飄々と手を振って去っていく彼の背中に、リウノはやる気に満ちた視線を送っていた。
(帰ってミソヅケ軍曹の更生プログラムを組み立てよう、そうしよう)
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