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「そうだよ、好きなんだよ!もう、今恥ずかしくて死にそうだよ!あの頃の雪乃も、今の雪乃も、大好きだよ。自分でもドン引きするぐらい好きなんだよ…素直になれなくて、言えなかった」
耳も顔も真っ赤で
目はウルウルと潤んでいる財前君は
会社にいるときの財前君ではなくて
子供の時の財前君だ
財前君の不器用だけど熱い思いが
私にもちゃんと伝わってくる。
「何で泣くんだよ!泣くほど俺のことが嫌なのかよ……」
「ちがっ……これは嬉しい涙だよ」
「嬉しいって……うわぁっ!!!」
財前君の胸へ思い切って飛び込んでみた
心臓の音を聞いていると私よりドキドキしているのが分かる。
背中に手を置いていいのかどうか
財前君が手をぶんぶん振っているのが
触れられていないのに分かって…可愛い。
「俺の胸で泣くのはお前が最初で最後だからな!」
「ふふふっ……うん。そうなるといいな」
「え…?」
「さっきの話の続きをしていもいい?私ね、葛城部長に会いに行きたいの、財前君と一緒に」
「え?俺と一緒に…?」
「私も……財前君が好きなの」
「え?俺?え……本当に?」
「財前君はいつも背中を押してくれた。自信を無くしていた私に自信をくれた……前は葛城部長のことばかり考えていたのに、今は財前君のことを考えてしまう」
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