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パタパタと走る足音が近づいて来た。
あれは、来君だな。
昔から聞き慣れた足音。
「担任の先生も来られたみたいですね。では、失礼します。」
せんせは、急に態度をちょっとヨソヨソしくした。
そうだね、過去の距離感には居られない。
「はい、これから…がんばります…。先生もお元気で。」
ちょっと笑って、そして頷いて廊下にスッと出て行くせんせ。
入れ違いに来君が前髪を立たせて入って来た。
そんなに走らなくていいのに。
むしろ、廊下は走らないでね。
「担任、もう来るから。」
可愛いね、来君。
私が1人で心細いと思って、走ってくれたんだよね。
ずっとこの17年、優しさを振りまかれて来た。
私の天使は、もう大きくなってしまった。
あの頃の私と同い年。
初めてせんせに出会った年齢。
お互いに、もう交わる必要のない人生を歩んでいる。
上手く喋れてたかな…。
変に勘ぐってなかったらいいな…。
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