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夜間のピークは零時頃で、その後はぽつぽつとしか客は訪れない。
一時間に一人来店すれば良い方だ。
僕は裏手に引っ込み、スマホを手にとってパイプ椅子に腰かける。
メールの受信画面を見ると、彼女から十件のメールが届いていた。
今、流れ星が流れていったね。
そうそう、明日は大学へ来てくれないか?
頼みたいことがあるんだ。
という一件で済みそうな内容が、わざわざ三件に別れていたりする。
以前、彼女に訊ねてみたが、これはこれで意味があるんだと一蹴された。
僕にはさっぱり理解できないが、彼女がそう言うのならそうなのだろう。
わざわざ異を唱えたりしないし、変えようとも思わない。
僕にとって彼女という存在は全てであり、彼女にとって僕は全てだ。
互いに依存した関係だと十二分に分かっている。
ーー御影麗華〈ミカゲレイカ〉。
幼馴染みで恋人である彼女からのメールは、今日も他愛のないものだった。
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