第8章 男心は胃袋で!

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夕飯、寿司がよかったとか? 誠、食い意地すげぇから。 この小さい身体で本当に驚くくらいによく食べる。 眞子がそれを真似して好き嫌いなく、すっげぇ食うのはいいんだけど、腹がまん丸になるまで食べるから、ちょっと体重が気になったりもする。 眞子、女の子だし。 あと、考えられる膨れっ面の原因は。 「ハンバーグじゃなくて、カレーがよかったか?」 「! それもいいけど……って、違う! ふーんだっ!」 「なんだよ、言えよ」 今、ちょうど坂道の半分まで来た。 あと残り半分で誠の機嫌直るかな。 ここの道はすげぇでかいから車の通りも多いけど、そこを右か左、どっちかに曲がれば、小道だから、一瞬くらいなら誠と手繋げるだろ。 一瞬だけ。 「おっぱい星人!」 「……」 「実が巨乳だから見てた! 僕、おっぱいないしっ!」 めちゃくちゃ怒ってる。 それがすっげぇ可愛いのも知らずに。 「そりゃ、おっぱいくらい見るだろ。でけぇし。おっぱいでかくて、眼鏡して、んで、顔が誠とか見るだろ」 顔が似すぎでびっくりするくらい。 しかも初めて会ったんだ。お前の姉貴に。 「兄弟ってあんなに色々と似るんだな。俺は一人っ子だから」 顔だけじゃなく、笑い方とか話し方、それと髪のふわふわしたとこも、全部が似てる。 「でも、違う」 「?」 「俺の好きな顔も笑い方も話し方も、それとおっぱいも、全部、こっちの人」 「!」 たしかに似てるけど、それは似てるだけであって誠じゃない。 俺の好きな、俺の旦那様はこっち。 小さいくせに、この長くてへばりそうな坂道を立ち漕ぎで一気に上りきって、毎日学校に 通ってた、たくましい奴。
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