第8章 男心は胃袋で!

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「これ、すっごく美味しいねぇ。いいなぁ、誠いっつもこんなハンバーグ食べてるの?」 姉である実さんの言葉に誠が自分のことみたいに俺の手料理を褒めちぎってくれる。 ハンバーグだけじゃない、冬には鍋、夏はさっぱりとしたご飯から、スタミナ満点の男飯まで、なんだって最高に美味しいんだって胸張って宣言してる。 今回は特に気合入れて作ったんだ。 小学生が好きそうな甘め濃厚トマトソースにトロットロのチーズが中に入ったハンバーグ。それとポテトサラダ。 「ど? 隼人」 「んー、こ、こんくらいなら、うちの母ちゃんだってっ、あむっ! ……っ!」 「そっかぁ。これ、すっげぇ、美味くねぇ?」 誠の大好物、辛くないのにちゃんと香辛料の風味がある、カレーチャーハンも、隼人だけ特別くっつけてやった。 その良い匂いがするカレーチャーハンを口が開いた瞬間押し込んでやる。 目を丸くして、口の中に放り込まれたカレー味に顔が更に赤くなる。 デザート付きのお子様ディナー。 ここまでがっつり攻めたら、落ちないわけがない。 「ねぇ、ねぇ、隼人! 拓海の料理美味しいでしょ? ね?」 「うぅー……」 甥とはいえ、血が繋がってるせいか誠の面影がそこにはちゃんとあって、俺のハンバーグに身悶えしそうになるのを堪える姿はすっげぇ可愛い。 誠の……子どもはきっとこのくらい可愛いんだろうな。 「お、おい、美味しい……です」 「それはよかった。ほら、もっと食えよ。おかわりあるから。このハンバーグすっげぇいっぱい作ったから、明日のランチにハンバーガーにしてやるよ」 「! ホッ、ホント?」 「あぁ」 可愛いだろ。 誠の子どもなんて、最高に可愛い。 だって、誠が何よりダントツに可愛いんだから。 胃袋鷲掴みにされて陥落した隼人の笑顔を眺めながら、寂しいとか負い目とか全然なしで、ただ、その可愛いあどけない表情を穏やかで幸せな気分だけで見つめていた。 それから、一時間くらい後 隼人がはちきれそうなくらい、眞子と同じくらい腹をまん丸にして完食どころかおかわりもたいらげた頃 レスキュー隊員をしている熊五郎みたいな、実さんの旦那さんも到着して、ほんわか可愛い家族のとこに迷子になった熊が加わったと思える光景にひとり笑い転げるのを必死に堪えていた。
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