第9章 奇跡の人

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式挙げることになりましたって言えば、それは楽しみだって両手叩いて拍手して大歓迎。 会場は、レストランなんですけど、俺の元職場でホストクラブで、でかい水槽があって綺麗なんですって説明したら、それはすごい! 大きな水槽があるなんて! とか拍手しながら、誠が見せたパンフレットに釘付けになる。 嬉しそうに、楽しみだって笑ってくれる。 本当にすげぇ寛大だ。 息子の結婚式を挙げる場所が、俺が世話になった場所だなんてとても良いじゃないかって言える家族はきっとそうない。 息子が同性と結婚すると聞いて、許すとかじゃなく、そのまま、本当にそのまま受け取ってくれる親なんて、奇跡だろ。 「拓海の手、好きなんだぁ」 クリスマスの日に現れたんだし。 「エヘヘ、お散歩デートだね。地元田舎だから、人いないよ! ほら! ほらほら! キスできちゃうかもよ!」 このままサンタが目の前に現れて、このプレゼント気に入った? 神様からの最高の贈り物、君にはもったいないだろう? なんて言われても、だよな、って納得できるくらいに奇跡だと思う。 でも、この手は離さないけどな。 「バーカ、酔っ払い」 この手を離すつもりは、これっぽっちもねぇ。 「あ、ちょっ! 拓海、そんな強く握ったらぁ……! いっやだぁぁぁ、ゴリゴリしちゃ、らめぇぇ!」 「マコ、スケベだな」 「やぁぁぁっ! それぇぇぇ!」 繋いでいた手の甲、指の付け根の骨を掌で握って、間接をゴリゴリ言わすと、呂律の回らない酔っ払いが、寝静まった田舎の夜道であられもない声を上げて悶えてた。
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