第10章 大歓迎ドンガラガッシャーン

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「あのね、会わせたい人がいるんだ」 誠には珍しく朝、真剣な顔をしていた。 言葉も少しだけ硬い。 大学の頃からすごく信頼している友人、でも――そこで誠が言葉を詰まらせた。 「いいよ。今から?」 コクン、と頷く誠の表情で、ラスボス登場かなって思った。 「誠の友人の粕谷だ」 喫茶店で、微かに聞こえるのどかなBGMには似合わない低く威圧的な声。 「かっちゃん! その言い方!」 「言っただろ。俺は認めてない」 やっぱ、ラスボスだった。 誠が大学生の時、きっと今と何も変わらずぽわんぽわんしていて、まん丸な瞳でニコニコ笑って、すげぇ可愛いだろう誠がマシュマロみたいな王子だとしたら このラスボスはそのすぐ背後に控える、裏では何をしてるかわからない参謀長って感じ。 するどい目つきに、キリッとした口元。 眼鏡でもかけてスーツ着てたら、様になりすぎて、顔はかっこいいけど誰も近寄らないだろうって感じ。 「誠は騙されるんだ」 「あのねぇ、かっちゃん!」 そんな眼光鋭い男がタオルを頭に巻いて、無精ひげで、そんでもって下駄に甚平で現れたんだ。少しだけ驚いて時間が止まった。 こっちがお父さんだろ。 同性愛に反対して、ちゃぶ台ひっくり返してドンガラガッシャーンっていうイベントをしてくれるお父さん。 誠の本物のお父さんみたいに笑顔で男の嫁を歓迎するんじゃなく、こっちが通常、ノーマルだ。 「騙されるとるに決まってる!」 ほら、口調もお父さんじゃん? 「男同士だぞ! けしからん! 結婚? しかも、ホストクラブだって? ありえん! ホストだったのか? ほら、やっぱり騙されるんだ!」 「かっっちゃん!」 誠が顔を真っ赤にして怒ってた。
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