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「めちゃくちゃ怒ってたね」
「そりゃそうだろ」
朝、誠に切り出された時は少しだけ違う路線も考えたんだ。
こんだけ可愛いんだ。
実さんの旦那さんはかろうじて実さんを先に発見してくれたけど、誠に先に遭遇してたら、って心配をほんの少しだけした。
だって、誠はそんな心配をするくらいに可愛いから。
最強だから。女にそれなりにモテてた俺が、一瞬で落ちたんだから。
相当、可愛いだろ。
だから、粕谷って奴も、もしかしたら誠に惚れていて、俺らのことを反対してるのかなって。
「ちゃぶ台じひっくり返すほうでよかったよ」
「へ?」
「なんでもねぇよ」
マジでお父さん、もしくは兄貴だな、あれ。
でも、いいんじゃね?
ひとりくらいドンと反対して来いよ。
そんくらい余裕で跳ね除けるけど。
男同士ってことにこっちはかなり腹くくったんだ。
男相手にプロポーズするのに気合だけじゃダメだろ。
それこそ、すげぇ心底好きだから、誠しかいねぇって思ったから、こいつに決めたんだ。
「拓海? なんで、笑ってんの?」
逆に拒否とか反対とか大歓迎なくらいだろ。
誠の将来全部背負ってく覚悟がある。
こいつとの家族はずっと俺らだけ、子どもは一生いない。
でも、それでもこいつがいいって思ったんだ。
だから、少しくらい反対してくれないと張り合いねぇじゃん。
「なんでもねぇよ」
誠が最強なら、嫁になった俺も最強だろ?
「えぇ? でもでも、すっごい楽しそうに笑ってる!」
「なんでもねぇって。ほら、指輪のことも決まったし、今度は……招待状だろ?」
「うんっ!」
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