第1章

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いつもクラスメイトの誰よりも早く登校し、机を拭いたり黒板を綺麗にしてくれる女子生徒がいた。そしてクラスメイトが来る頃には教室は綺麗になっていて、彼女は何事もなかったかのように読書をしていた。 なぜそんなことを僕が知っているのかは、彼女より早く登校してみたかったというただの好奇心から始まった。いつだか彼女に質問してみたことがあった。 「なんでいつもこんなに早く来るの?」 「人ごみは苦手」 「掃除してるのは?」 「授業前に綺麗にすれば気持ちいいでしょう?」 僕の質問に彼女は無表情で答えていた。彼女が他の子と話しているのは見たことあるけど、無表情に変わりはない。だから僕は彼女より早く登校し、彼女を驚かせてみようと心に決めた。 あれから数ヶ月。がんばって早起きしたけど、一度も彼女には勝てなかった。
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