0人が本棚に入れています
本棚に追加
そして今日。彼女はいなかった。もしかして病気で欠席なのか。それとも登校途中で事故に遭ったのか。僕はあらゆる想像をしてしまい、彼女が心配になった。彼女に勝ったと素直に喜べない。
僕はとりあえず自分の席に座る。時計を確認したら昨日より遅い時間だった。彼女が何事もなければ来ているはずだった。そしていつもなら彼女とたわいもない会話をしているこの時間が途方も無く長く感じていた。僕は彼女との朝の時間が楽しかったのだと改めて感じた。
ふと、彼女の席を見た。すると、彼女の机の脇にカバンがあるのを見つけた。僕は慌てて起き、廊下へ出ようと戸を開ける。
その時、戸の向こうには彼女の姿があった。彼女は少し驚いた顔をして、一瞬で怯えた顔に変わった。
「え、どうしたの?」
「あの……出た、んです」
「何が?」
「く、黒い……ひゃっ!」
彼女の可愛らしい声を聞いて、彼女の目線を追うとそこにはGがいた。なるほど、こいつのせいで彼女は教室にいなかったのか。
最初のコメントを投稿しよう!