学校のナナ不思議

「だからね国は大慌てで『臨時教員養成所』とう施設を設立したんだよぉ。教師の数が少なかったものだからねぇ……とても子供に学問などを教えることなど向いていないであろう屑のような大人も含めてぇ、超短期間で無理やり最低限の知識や教養を叩きこむ……ああ、まさに地獄のような場所だったって話さぁ――そんな施設の数がねぇ、『表向き６つ』あったわけだぁ」

「『６つ』？　……『７つ』ではなくてですか？」

「そう、『６つ』だよぉ……１９０２年に設立された『第一期臨時教員養成所』――」

　そう、これは『史実上』、実在した養成所――　

　第一臨時教員養成所 東京帝国大学

　第二臨時教員養成所 第一高等学校

　第三臨時教員養成所 第二高等学校

　第四臨時教員養成所 第三高等学校

　第五臨時教員養成所 東京外国語学校

　第六臨時教員養成所 東京女子高等師範学校

　……『嘘』だと思うならば調べてみると良い。

　今の時代ならばネットで簡単に調べられるだろう。

　ナナ先輩は歌うような口調で実在した６つの養成所名を教えてくれた。

　そして続けて本題を口にする……

「さてぇ、ここで重要なのは『表向き６つ』の養成所が設立されたという記録が残っているってことだぁ……先ほど言った通り、そこは本当に地獄のような場所だったらしいよぉ。大人たちが缶詰にされてねぇ、明治国家から『教育』……いいやぁ、あれは『洗脳』と言った方がいいかなぁ……クッ、クスクスク……」

　その悲惨な光景をまるで実際にその目で見たことがあるかのようにクスクスと笑いながら語るナナ先輩……

　『臨時教員養成所』

　明治時代にそのような施設が存在していたのも驚きだが……

　そう、僕が気になったのは……

　そんな僕の気を察してかナナ先輩は自分の唇の前に人指し指を立ててシッと言葉を潜めながらこう言った――