第1章 変化

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ゾクリ。 背筋に冷水でも浴びたかのように寒気がした。 私はみんなには見えないのだろうか? もう一人の私しか私を見れないのだろうか? 訳も分からず動揺していると、先ほどの出来事を思い出した。 頭の中に聞こえた声、あれは何と言っていたか。『あなたはドッペルゲンガーです』だ。 私は怪談は苦手だが、その言葉は知っている。以前、怪談好きの友人が不親切にも教えてくれたのだ。 確かその話では……ドッペルゲンガーは自分の分身であり、姿形はまったく同じである。また、ドッペルゲンガーは影の存在であり、本物の自分に会うことは無いのだという。けれどもまれに本物と影が出逢ってしまうことがあるらしい。そのときは影がどこまでも本物を追い掛けて殺してしまう……とのことだ。
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