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教室のドアをあけるとそこには、真っ赤な紅葉の景色が広がっていた。
その景色は教室のドアの枠組みというフレームのなかで、さながら一枚の絵画のようだった。強風が束ねられたカーテンを揺らす。何枚もの強風に煽られた紅葉が教室に吹きこんで、床一面を絨毯のように覆っていた。
その教室の後よりの真ん中の席で、赤いラインの入った黒のセーラー服を着た少女が突っ伏していた。
彼は足音を立てないように少女の席に近づいていく。
その足取りに迷いはなかった。
彼は、少女の座る前の席の椅子の背もたれを抱くようにして座り、言った。
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