第一章

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 そうか、普段からがんばって平和を愛するようにしてるから。  気がついたら、それが表に出ちゃったのかな。 「え、いや――その、ね。嫌っていうか。曰くつき、というか。まぁ、あった人でね」  え、誰だ。誰のことだろうと、みんなは顔を合わせるが。  そんなに不思議かい。  そんなに、私が誰かと衝突するのが不思議なのか。 「あれか、生徒会か。あそこの生徒会長うざいもんなぁ」佐藤の辛口。 「それは言い過ぎ。真面目にやってるでしょ」と自身もちょっと真面目の鈴屋が言う。 「……しかし、あれはやり過ぎだよな。この前も、えーと……あれ」瀬尾はアーティスト名が思い出せない。 「ACID」祖父江はすぐに言い当てる。 「そう、それ」瀬尾。 「ACIDを忘れる? 私だって好きなのに」と私が付け加えて。さらに、瀬尾が言う。 「うっさいな、ボカロイドってよく分からないんだよ。えーと、それの批判もしたじゃん。名指しで校内放送でさ」  ――あんな、低俗で薄汚いものは音楽と言えない。  だっけか。  そんなこともあったな。  いや、私が嫌な奴と言ったのは実際は彼ではないし、生徒会ですらないのだが。いやいや、そもそもこの学園の生徒でもないと思うのだが。そうか、生徒会長はやはり嫌われてるんだな。でなきゃ、すんなりと今この場で彼の名が出たりはしない。 (その割には、彼に対する批判は表立ってされてないけどね)
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